健康だより

ピロリ菌の診断方法

2013/10/21

 ピロリ菌は胃十二指腸潰瘍や胃がんの原因と指摘され、60代以上の日本人の60%以上がピロリ菌に感染しているといわれています。ピロリ菌の感染経路はまだはっきり解明されていませんが、経口感染が主な経路と考えられています。上下水道が整備されていないような地域や国では感染率が高く、先進国の中では日本は際立って高い感染率です。しかし、衛生状態が改善された今日、若い世代の感染率は急速に低下しています。

 ピロリ菌を見つける検査には大きく分けて内視鏡を使わない方法と、内視鏡を使う方法があります。内視鏡を使わない検査方法は、何より内視鏡検査を受けずに済むという大きなメリットがあります。
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内視鏡を用いない方法
1.
尿素呼気試験法
 診断薬を服用し、服用前後の呼気を集めて診断します。最も精度の高い診断法です。除菌療法後4週以降の除菌判定検査に推奨されています。

 

2.抗体法
 ヒトはピロリ菌に感染すると、抵抗力として菌に対する抗体つくります。血液中や尿中などに存在するこの抗体の有無を調べる方法です。

 

3.抗原法内視鏡を使う方法
 糞便中のピロリ菌の抗原の有無を調べる方法です。

 

内視鏡を使う方法
 内視鏡検査では、胃炎や潰瘍などの病気があるかどうかを直接観察して調べますが、それと同時に、胃粘膜を少し採取しそれを使って検査する方法です。

 

1.迅速ウレアーゼ法
 ピロリ菌が持っているウレアーゼという、尿素を分解する酵素の活性を利用して調べる方法です。採取した粘膜を特殊な反応液に添加し、反応液の色の変化でピロリ菌の有無を判定します。1時間程度で結果は判明します。

 

2.組織検鏡法
 胃の粘膜の組織標本に特殊な染色をしてピロリ菌を顕微鏡で探す組織診断方法です。

それぞれの検査に特徴があり、これらを使い分けてピロリ菌の診断と治療を行っていきます。クリックすると新しいウィンドウで開きます

                      ~臨床検査科~