健康だより

日本人が最も摂りにくい栄養成分は食物繊維

2011/06/16

 食物繊維が人間の健康に重要な成分として提案されて50年が過ぎました。
 1960年台はじめ、西欧で広がってきた生活習慣病がアフリカの人々では珍しいところから、アフリカで医療活動をしていたイギリス人医師たちは食生活に注目しました。欧米では、食品が精製されているのに対して、アフリカではあまり精製がされていないことが原因ではないかと考えました。食品中の不消化な成分が重要な働きをしていると考え、1972年に「食物繊維」と名づけました。
 日本人の食物繊維の摂取量は1960年台はかなり摂取されていましたが、その後徐所に低下しています。現在成人について、生活習慣病予防のための目標量は、男性で19g、女性で17gが推奨されていますが、その70%程度しか摂取されていません。特に若い世代での摂取が少なくなっています。食物繊維の不足は便秘にも繋がりますが、大腸内の環境の悪化、血液中のコレステロールや血糖値の上昇、メタボリックシンドロームなどの原因にもなります。
 食物繊維が減ってきた大きな原因は、穀物からの食物繊維の摂取が減ったことです。最近は野菜からの食物繊維摂取が最も多くなっています。
 食物繊維をしっかり摂取するために次のことを提案します。

 


1.3食必ず食べる(表1参照)
2.ご飯党の人は麦飯がよい(大麦は精白米の20倍の食物繊維を含有)
3.パン党の人は全粒粉のパンやライ麦パンがよい
4.野菜は、煮たり、炒めたり、蒸したりする
5.サラダにむく野菜は食物繊維が少ないので、サラダに偏らない
6.野菜料理は毎食2皿分を目標にする

 

【表1】

【表2】

~平成記念病院・栄養科~